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2012-04-14 読書感想。俺の妹がこんなに可愛いわけがない10 [1次元@読書感想]


俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)

  • 作者: 伏見 つかさ
  • 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
  • 発売日: 2012/04/10
  • メディア: 文庫

兄妹にしてはアヤシイ距離感の京介と桐乃。両親にいかがわしい関係を疑われた二人。家族会議の結果、兄の京介はアパートで一人暮らしをすることになります。実家に戻れる条件は志望大学の模試でA判定を取ること。進学や就職などで一人暮らしを始める方も多いこの季節に刊行ということで炊事洗濯など一人暮らしにまつわる苦労話や、孤独に苛まれて妹の存在をあらためて意識する話を予想していましたがさにあらず。本作は実家というくびきから解き放たれた主人公がモテパワーをここぞとばかりに発揮し、面倒見のいい美少女たちから甲斐甲斐しく世話を焼かれるという世にもハーレムな物語りでございます。特に今回は桐乃の親友で最強の美少女と名高い新垣あやせがメインヒロインに抜擢。ドS&ヤンデレな彼女との半同棲気味の展開は京介視点で読む分にはニヤニヤが止まらない。
・・・が、あまりのリア充ぶりに実際に一人暮らしをしている読者の中には現実との落差に複雑な想いを抱いた方も少なくなかったのではないでしょうか。本編では同じアパートに住む隣人の描写は皆無でしたが、あれだけ大騒ぎしていたのですから、おそらく隣人のみなさんも京介のリア充ぶりに辟易していたハズ。ということで今回の読書感想は語られることの無かった隣人という設定で書きたいと思います。

題して「俺の隣人がこんなにリア充なわけがない」
以下妄想&ネタバレを含みますのでご注意を。

千葉県千葉市にある築三十年の木造アパートにお住まいのAさん(大学三年生)談。

---ええ、とにかく最悪な日々でした。事前に大家から説明があって、上の階に高校生が越してくるって聞いたときから嫌な予感はしていたのですが・・・。世間知らずの高校生が親元から離れて一人暮らしなんて始めたら絶対騒ぐに決まってますから。夜中まで大きな音で音楽を流し続けたり、友達と大騒ぎしたり。まあ、でもそんな騒動であればよくある話なので我慢もできますが今回はちょっと次元が違いましたね。

十月初旬の休日に彼は引っ越してきました。ちょうどボクの真上の部屋201号室。角部屋です。引っ越し自体はすぐに終わったようで荷運びの音はすぐに止んでほっと一安心でした。夜中も静かでした。ところがその2日後です。なんと早朝6時からピンポーンの連打です。隣人の目覚まし時計がいつまで経っても鳴り止まずにイライラすることってありますよね。でもピンポーンの連打はそんな生易しいモノではありません。静かな早朝をぶちこわす最早暴力に近い騒音でした。そして「ぎゃー」って少年の叫び声。これまで平和だったアパートになにか大変な事が起きたんじゃないかって背筋が凍りました。

しばらくしてから意を決して上の階の様子を窺いに行きました。そうしたら小柄ながらかわいらしいセーラ服姿の少女が201号室の玄関に立っていました。雰囲気からして流血事件ではなく、ただの痴話げんかのようでしたので胸を撫で下ろしました。が、なにやら室内にいるらしい別の少女と言い争った後に、セーラ服姿の少女はとんでもないことを口にしました。ボクはその言葉に頭を金槌で殴られたような衝撃を受けました。「私は京介が実妹と■■■していても構わないわ!」最近の高校生が進んでいるというのは巷の噂で知っていましたがまさかここまでアブノーマルな世界が現実に起きているなんて。中高男子校だったボクにはあまりにも毒のある言葉でした。僕は這々の体で部屋に逃げ帰ると布団にくるまって現実逃避しました。もちろんその日は大学には行っていません。

極めつけが彼が入居してから一週間後の出来事です。なんかね、もう絶望的な光景でしたよ。朝から騒がしいなぁ、とわずかにドアを開けて外を窺うと、女の子がアパートにやってくる姿が見えました。しかも一人ではなく何人も。はじめは家庭的な感じのメガネ娘とゴスロリ姿の少女。続いてお嬢様風の清楚な少女と笑顔が素敵な茶髪の少女。最後にすらりとしたモデル体型の少女。みながみな軽やかな足取りでアパートの階段を上っていきました。201号室は芸能事務所か!ってほど全員美少女でした。かび臭いはずのボロアパートがこの日はもの凄く良い香りに包まれてました。ちらりと目にした少年の顔は地味で平凡。でもどこか自信ありげでモテオーラを漂わせていました。男女比がほぼ1対1の日本でどうしてボクはモテないんだろうと考えた事がありますが納得です。一部のモテ男がごっそりと女の子を囲っているからなんですね。ボクはその非情な現実に打ちひしがれ台所で嗚咽を漏らしてしまいました。そうすると上から女の子達のかわいらしい声と調理の音が聞こえて来るではありませんか。ボクは居たたまれなくなって部屋を出ると公園に行きました。

公園には何度か見かけたことがある102号室のサラリーマン風の男性と202号室の中年の男性がベンチに座っていました。ボクが会釈すると、二人はやつれた笑みを返してきました。二人とも同じ痛みを共有していたようです。三人で話し合った末、ボクの部屋で飲み会でも開こうかという話になりました。言わば上の階への意趣返しです。男たちの酒臭い空気でリア充の空気を吹き飛ばしてやる。そう誓い合ったボクら3人は近所のスーパでビールと焼酎を買い込み意気揚々と帰宅したました。

・・・しかし現実はさらに残酷でした。

アパートの前にある庭なんだか駐車スペースなんだか分からない空き地。なんとその空き地で少年と少女たちが青空パーティを開催しているではありませんか!キャンプ用の大型テーブルに6人の美少女が座り、お嬢様風の少女の音頭で杯を掲げ「おめでとうございまーす」とか唱和しています。なんなんでしょう。王の宴でしょうか?この際一人美少女が増えている事など問題ではありません。テーブルの上には美少女たちの手作りと思われる串揚げや、和風の焼き菓子、炊き込みご飯のおにぎり、そしてコンロには豚汁が美味しそうな湯気を上げています。
一方ボクらの食材といえば柿の種とスルメ、それに焼き鳥の缶詰でした。
圧倒的なその戦力差に打ちのめされたボクらは三々五々その場を後にしました。正直その後の記憶はあやふやで気が付いた時には綿打池の辺で横たわっていました。

後日202号室の男性が引っ越しの挨拶に来られました。部屋の位置的に必ず201号室通称「リア王の間」を通り過ぎないといけない彼の苦痛は推し量るべくもありません。インスタントラーメンや弁当を持ち帰り一人寂しく食事につく隣では高校生ながら美少女の手作りが待っている。換気扇から洩れる美味しそうな料理の香り、楽しげな会話それらを聞いて彼のMPはゼロになってしまったようです。それでも別れ際ワンピースを彷彿とする大粒の涙を流し、「おまえはがんばれ!」とボクにエールを送ってくれました。

それからの戦いは長く辛いものでしたが、冬の訪れと共に終わりを告げました。なんでも志望校の模擬試験でA判定を取れた為、実家に帰ったとのこと。とある日の早朝、言い争いの後に階段を転げ落ちる音が鳴り響き、シェイクスピアのリア王の如く悲惨な最期を遂げたか、と期待しましたがそんなことはなく不死身ぶりをアピールしていたリア王。同年代どころか小学生まで部屋に連れ込むそのバイタリティと共に敬服に近い感情が芽生えていたのですこし寂しい思いを抱いたのも事実ですが、多大な精神的苦痛を受けたのも確かで、総括すればやはり最悪な2ヶ月だったと思います。




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