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2012-12-14 ちはやふる19巻+小説「ちはやふる二」+かるた入門編のレビュー [2次元@ちはやふる]


ちはやふる(19) (BE LOVE KC)

ちはやふる(19) (BE LOVE KC)

  • 作者: 末次 由紀
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/12/13
  • メディア: コミック

良質のラブコメや恋愛コミックスを読むと、ニヤニヤしながら寝床でローリングしたくなりますよね。登場人物の赤面する姿や、はにかむ姿を見てつい身体をゴロゴロと回転させてしまう。いわゆる身悶えというやつです。それは物語の中で発せられた恋の温かい空気が読者の心に環流し、「風」を生み出した結果なのです。吹き込んだ「風」はあたかも風車のごとく横軸の運動エネルギーに変換されて、読者の身体を回転させる。別名赤面回転の法則とも呼ばれています。

一方で縦軸の運動エネルギーを発生させるコミックスもあります。例えばスポ根マンガがそれです。スポ根マンガの登場人物が発する「闘志」や「情熱」に影響されて思わずでんぐり返しをしてしまったことはありませんか?これは心の中で「オレも戦いたい」「オレも何か成し遂げたい」という「想い」がマンガの発する「熱」によって膨張し、やがて圧力となって蒸気機関車の車輪のように縦軸の運動エネルギーを生み出した結果に他なりません。これは別名、空回りの法則と呼ばれてます。

横軸と縦軸の運動エネルギー。少女コミックスは横にゴロゴロ回転する事が多く、少年コミックスは縦にゴロゴロ回転する事が多い。無論、これはあくまで傾向であり、少女コミックスの中には縦軸の運動エネルギーをもたらす作品も複数存在します。その筆頭と呼べるのがご存じ、「ちはやふる」です。

今月発売されたちはやふる19巻。今作は吉野大会のA級戦をメインにしています。千早VS元クイーン猪熊ママ、新VS白波会の坪口さん、原田先生VS南雲会の村尾さん、そして太一VSドS須藤氏の対決から始まります。某ボクシングマンガならそれぞれの対決に1巻ずつ費やしているであろう個性的かつ魅力的な面々の対決。それをなんと200ページ前後に収めてしてしまうのですからそこに発生した熱量は半端ない。私の心はその熱を受けて大膨張。読んでいる最中にでんぐり返し2回転をするほど興奮しました。今年購入した数あるコミックスの中でも一二を争う熱量。今作が「ちはやふる」のクライマックスだと言われても素直に頷いてしまうほどです。

気になる試合の詳細はそれぞれ読んで頂くとして、心に残ったシーンと感想をいくつか。

■元クイーン、猪熊ママの「凄味」
18巻から登場した猪熊ママ。桜沢先生と同世代の人でクイーン4連覇の大物です。子育ての為に試合から離れていましたが現役復帰。朗らかな雰囲気から一変、試合では尋常ではない眼力をメガネの奥から発し、妖気めいた凄味を醸し出していました。すでに一線を退いて指導者になっている元ライバルの桜沢先生が現役復帰した彼女に向けて「情熱があるのね」と声をかけますが、猪熊ママは「情熱」という言葉を否定します。彼女が現役復帰した理由は「情熱」ではなく、自分の強さを顕示したいという強烈な我欲でした。そして「私のかるたは、誰よりも私が楽しむかるたよ」と言い切り薄笑いを浮かべます。その言動を見ると、確かに彼女がかるたに賭ける想いは「情熱」と分類するものではなく「業」に近いと感じました。この境地に達せられるかがクイーンになれるか否かの分解点なのかもしれません。

■新に芽生えた「対抗心」
高校選手権個人戦でクイーンの詩暢を破り名実ともに高校世代最強に躍り出た新。そんな彼でしたが、惜しくも白波会のエース坪口さんに敗れます。高校生の中では異次元の強さがありましたが、経験を積んだ古強者が集うA級の中では常勝できるまでの実力はまだないようで正直一安心。あんまり強すぎると太一の立つ瀬がないからね。あと余裕かましている彼の表情よりも負けたときの半ギレ顔の方が人間らしくて好きです。さて、そんな新が今作においてようやく太一に対して正面から向き合うことになります。

新はこれまで太一の事を「かるた仲間」としてしか見ていませんでした。かるた競技の「ライバル」としては、ハッキリ言って眼中になかった。南雲会の兄弟子、村尾さんと対峙する太一を見て、「かるた続けて、A級にまでなって」と嬉しそうに笑っていた新。太一が準決勝に上ってきたことの驚きや警戒よりも彼がかるたを続けていてA級に「まで」なったことが嬉しくてたまらないといった様子。うん、完全に太一の実力を侮っています。

しかし、太一は「かるたを頑張って続けている」というレベルではなく「かるたに青春をかける」レベルで精進し、ついには超A級の村尾さんを倒すほどの力をつけ始めていました。そんな彼を見て新も意識を改めます。試合の終盤、劣勢の村尾さんを見て新は内心で呟きます。「村尾さんが負けるはず無い」そこには友人の快進撃を喜ぶような甘い心境はなく、「まさか」という思い以上に「対抗心」が芽生えている様子がありありと描写されており、太一ファンとしては嬉しいシーンでした。以前太一が近江神宮にて宣戦布告した「敵だよ」という言葉がこれで生きてきます。これから会う度にバチバチと火花を散らして欲しいところ。とても楽しみです。

■「襷」そして「二人で」
熱い展開のオンパレードだった今作の締めくくりは千早VS太一の決勝戦でした。公式戦では初対戦になります。ここでまず印象的だったのは太一が千早の力を封じるために札の配置を変更したシーンですね。誰よりも千早の事だけを考えて、苦しくなるように、苦しくなるようにと編み出した札の配置。セオリーを無視した配置に驚く千早。涼やかな視線で対峙する太一。ブヒ///私はこのシーンで不覚にもときめき、縦回転ではなく横回転のローリングをかましてしまいました。これもうね。告白ですよ、告白。さりげなく、でもちょっと、気負った太一らしい千早に対しての告白。誰よりも千早の事を考えて、考え抜いて、そしてなんとしてでも勝つ。勝って千早を認めさせる。その宣言であり告白のように見え私はコミックス片手に悶絶致しました。

そして、最後の4ページ。この辺りはマーベラスとしか言いようがありません。これまでの「ちはやふる」の既刊の中でも最高のシーンの一つと言ってよいかもしれません。白熱する二人の勝負の最中に瑞沢高校かるた部顧問の宮内先生が叫びます。

「襷」と。

なんとも意味深ではございませんか。襷といえば袖留め用の補助具ということになりますが、駅伝でも用いるように「繋ぐ」あるいは「絆」というイメージがあります。そんな襷を勝負に集中するあまり結び忘れていた二人。慌てて襷を結びますがその際に二人か交わす会話がまた意味深。
(太一)「なんで忘れてんだよ千早」
(千早)「太一がつけてれば私も思い出すよ」
そして、襷を結び笑顔で見つめ合う二人。浮かび上がるのは「二人」がかるた部作りの為に畳を運び入れた日の情景。物語の最初からしっかりと「結ばれていた」千早と太一の絆を暗示しているようで大変感動的でした。太一ファンとしてなんとなく明るい未来を妄想できる素晴らしいヒキで終わった19巻。いまから次巻が大変楽しみです。


小説 ちはやふる 中学生編(2) (KCデラックス)

小説 ちはやふる 中学生編(2) (KCデラックス)

  • 作者: 時海 結以
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/12/13
  • メディア: コミック


お次は小説版ちはやふるの第二弾。「ちはやふる中学生編②」の感想です。
第一弾の小説は中学生時代の千早と太一の様子が描かれていましたが、今作は綿谷新オンリー。一冊丸ごと新の物語です。ファン向けの作品としては悪くない出来だった前作。しかし、小説版と言うには少々物足りない部分があったのも確か。文章でしか表現できない内面描写についてもう少しがんばってほしかったというのが本音でした(特に千早編)

その点、今回の新編は小説として良く出来ていると思います(上から目線)。
「ちはやふる」のファンが読者であることを前提になっているので、「ちはやふる」を知らない読者が楽しめるかは断言できませんが、かなり丁寧に新の内面を描写しており、祖父の介護や家庭問題が絡むヘビーな物語の流れと相まってなかなかの読み応えがありました。

福井に帰ってからの中学三年間を描いた本作。高校一年の時に千早と再会した新がなぜ、あれほど荒んでしまったか。その経緯が書かれています。悲しい結末を前提にしたお話ですが、新の「かるた」に対するバックボーンを形成した重要なエピソードもあり、新ファンはもちろんのこと、ちはやふるファンであれば読んでおいて損はないでしょう。

さて、最後に芦野由宇について。
原作ではほんの僅かしか登場しなかった芦野由宇。超絶美少女の千早に比べて地味顔の彼女の印象ははっきりいって薄く、「ああ、千早が持ってきたかるたを突き返そうとした彼女か」という程度の認識でした。しかし、そんなモブ級のキャラだと思われていた彼女が本作では大活躍します。世話焼きっ娘で、素直で、純真で、さらには心が強いという、パーフェクトヒロインぶりを発揮。本来であれば鬱々とした雰囲気になってしまってもおかしくはない物語なのに「ちはやふる」らしさを保てたのは紛れもなくと彼女の存在のおかげでした。祖父の介護で心が折れつつあった新を励ますシーンはマジ感動もの。今回の小説の表紙は新と千早のツーショットですが、この功績を鑑みると、新の横に立つべき人は芦野由宇しかありえないと思えます。しかし、悲しいかな彼女は新の「幼なじみ」・・・。最近のブーム?として「幼なじみ」は不遇な扱いを受けると決まっています。この属性さえなければメインヒロインの座を奪えるほどのポテンシャルを持っていただけに残念でたまりません。


ちはやふるかるた 入門編 (講談社キャラクターズA)

ちはやふるかるた 入門編 (講談社キャラクターズA)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/12/13
  • メディア: コミック


続いてはコミックスと同時発売されていた、「ちはやふる かるた入門編」についてレビュー。
購入するまで、コミックス同梱のファンアイテムだと思い込んでおりましたが、この商品にコミックスは付属していません。開梱してからその事実に気がつき、本来の目的であるコミックスを購入するために書店にとって返したのは内緒。

DVDBOXのようなスタイルで、奇麗な印刷の外箱と、本体を収納するBOXに分かれています。それでは商品の紹介を。
■読み札50枚、取り札50枚の計100枚のセット
■専任読手の読み上げCD
■原田先生の競技かるたのルール説明書
・・・これで価格は税込み2100円。この価格が高いか安いかは意見の分かれるところだと思います。特に物議を醸しそうなのが札の枚数。この商品には実質50首しかありません。百人一首は文字通り100首あるわけで、本来必要な札の半分しかないというのはいかがなものかと。しかし、考えようよってはこの思い切った?商品展開もありなのかな、と思いました。というのも、競技かるたで使用する札は50首。残りの半分は空札になります。なのでこのセットだけでも遊ぶことは十分可能。まずは50首を徹底的に覚えてコツを掴んで欲しいという親心なのかもしれません。

枚数の少なさは品質でカバー。といった感じで、札の質感や印刷のレベルは結構上等な部類だと思います。2000円前後で購入した百人一首の札よりも1.5倍は厚さがあり、耐久性も高そう。また取り札の端にはご覧のように読み札の始めの文字が記載されおり、初心者にとってはありがたい仕様になっています。決まり字を覚えていない人同士が「ちはやふる」のイメージだけでゲームを始めると悲しい結果になるのは経験済み。上の句ではまったく反応できず、下の句でようやく動き出すという、スピードが信条の競技かるたらしからぬ、のろのろとした展開になります。なので、この頭一文字という「ヒント」が書かれているだけで初心者でも札を取るスピードが飛躍的に上がるので「ちはやふる」的雰囲気を楽しむには良いと思います。

読み上げCDの読手を声優さんにせず、本物の専任読手にしたことにも好感が持てます。ちはやふるファンとしては正直なところ、かなちゃんや、千早の声で読み上げてほしいところでしたが、この商品は「ちはやふる」のファンアイテムとして作られたのではなく、「ちはやふる」を通じて競技かるたに興味を持った人向けに制作された物と思われます。かるたに興味を持った少女たちが増えてくれるのは嬉しい限りなので(ロリ的に)これはこれでOK。是非全国津々浦々に普及してほしいと思います。そして将来的には着物や袴姿が普段着とし定着する未来を夢見ております。

おまけ

ちはやふるオフィシャルファンブック (KCデラックス)

ちはやふるオフィシャルファンブック (KCデラックス)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/12/13
  • メディア: コミック


ちはやふるのオフィシャルファンブックも購入しました。コミックス、小説、かるた入門編、オフィシャルファンブックを同日に販売するなんて、講談社はアホか。大人だってお小遣いに四苦八苦しているので、子供のファンはこの四つを同時購入するのは大変でしょうに。いくら来年アニメの第二弾が始まるからとはいえ、やり過ぎです。

なんて怒ってみたところで販売していれば購入してしまうのがファンの悲しいところ。こちらの本はなんというか、まあ、雑多な情報が集まった、ファンブックらしい構成になっています。キャクターのプロフィールなんて本当に作者が考えたのかアヤシイところもちはらほら・・・(若宮詩暢の好きな食べ物が八つ橋って、それ好物じゃなくて名物だろ)唯一の読みどころは札制作の舞台裏と対戦表のところでしょうか。試合経過と共に刻々と変化する取り札の配置をExcelで可視化しているという制作の舞台裏は大変興味深く読めました。これらに興味のある方は購入してもよいのでしょうか。
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2012-09-18 ちはやふる18巻と小説「ちはやふる中学生編」の感想 [2次元@ちはやふる]


ちはやふる(18) (BE LOVE KC)

ちはやふる(18) (BE LOVE KC)

  • 作者: 末次 由紀
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/13
  • メディア: コミック

ここ最近、忙しさにかまけてコミックスの発売日のチェックを怠っていました。そのため、ちはやふるの最新巻がすでに発売中であることを知ったのは我がオタ師匠のブログ経由でした。ちはやふるファンを自称しておきながらコミックスの発売日に買いそびれるとは・・・。自分の迂闊さに呆れつつあわてて書店に駆け込み、ちはやふる18巻と、同時刊行されていた小説版のちはやふる中学生編を購入しました。というわけで、発売からずいぶん時間が経っていますが、上記二冊の感想でも。まずはコミックスの最新刊、ちはやふるの18巻の感想から。

■18巻は「先生」がテーマ
書店で積み上げられているコミックスの表紙を見て驚きました。著者自身が巻末のおまけの4コマで突っ込んでいましたが、今回表紙を飾ったのは「先生」。それも一人ではなく、なんと7人。ちはやふるに関わる「先生」が勢揃いした表紙になっていますw。上から順に紹介すると、富士崎高校の顧問である桜沢先生、千早たちの恩師である原田先生、瑞沢高校かるた部顧問の宮内先生、新が所属する福井南雲会の栗山先生、瑞沢高校の担任の深作先生、肉まんくんの恩師である北野先生、そして北央高校かるた部の顧問、持田先生。正直せっかく「先生」を表紙にするのであれば、キャラの重要度からして原田先生を最も大きく描いてほしかったところですが、そこは一応少女マンガ。神セブンならぬ先生セブンの中でも一番華やかで見栄えの良い、桜沢先生がメインになっていますw

これまでのコミックスの表紙を飾ってきたのは主人公である千早や仲間。あるいはライバルたちの姿でした。それが今回、先生だらけ。とても競技かるたに青春を賭ける「少女」を主人公にした物語には見えません。コミックスの帯に書かれた「一人じゃない、チームなんだ!!」という言葉に「どんなチームだっ!」と突っ込みを入れたくなりました。

しかし、今回の18巻。そんな「先生」がテーマの一つのようです。
これまで千早の夢はクイーンになりたいというただ一点でした。学校の進路志望調査でも迷わず「クイーン」と記入し先生に怒られていました。野球やサッカーのようにプロが存在しない競技かるた。悲しいかな、クイーンの夢がかなっても生活できるわけではありません。かるたの場合、夢の成就と将来の進路は別問題であることに気がついていませんでした。ところが今回、彼女は具体的な将来像を描きはじめます。それは「先生」になって「かるた部の顧問」になること。

『でも私の中にはたくさんの先人の言葉が、受け取ってきた宝物があるので、それを君らにパスするために、受け売りをするために教師になったのですよ』

担任教師である深作先生のこの言葉に感銘を受け先生を志す千早。何の取り柄もないと思っていた自分に日本一に、世界一になる夢を与え、さらには仲間との大切な時間をつなぎ合わせてくれる「かるた」は千早にとってかけがえのない「宝物」です。その大事な「宝物」をまた別の誰かに繋げることができる。それは夢と将来が初めて初めて合致した瞬間でもありました。

競技かるたは上の句を詠み上げ下の句を取る競技。すなわち上の句と下の句をつなぎ合わせる競技とも言えます。ですのでこの「繋げる」というのも本作において重要なキーワードなのかも知れません。1000年前からの想いを、夢を、詩を繋げる。自分だけではなく、後に生まれた人へも繋げる。「先に生まれた者として」つまりは「先生」になって繋げていきたいと思うようになった千早。めっさ成長しています。

それにしても千早のかるたに賭ける情熱はもの凄いですね。
かつて新には敵わないと弱音を吐く太一に『青春の全てを賭けてから言いなさい』と原田先生が諭すシーンがありましたが、千早にいたってはかるたに人生を賭ける覚悟のようです。競技かるたに青春を賭ける「少女」を主人公という物語が「ちはやふる」だと思っていましたが、どうやら間違いのようです。人生をかるたに賭けた千早の物語というのが正解のようです。

ところでかるた馬鹿の千早が将来ちゃんとした先生になれるのでしょうか?
この心配というか、疑問について翠北会の江戸っ子、北野先生が答えています。『師を持たない人間はだれの師にもなれないのだ』。この言葉の裏を返せば『師を持つ人間は誰の師にでもなれる』ということですね。千早の場合は周囲に素敵な師がいます。原田先生はもちろんのこと、宮内先生や深作先生が彼女を支えています。素敵な先生を持つ千早もまたきっと素敵な先生になることでしょう・・・多分。


小説 ちはやふる 中学生編(1) (KCデラックス)

小説 ちはやふる 中学生編(1) (KCデラックス)

  • 作者: 時海 結以
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/13
  • メディア: コミック

さて、お次は小説 ちはやふる 中学生編(1) の感想でも。

■天才と戦う宿命を持つ男、真島太一。
コミックスが売れるとドラマCDが作られたり、アニメ化されたりと多方面に展開するいわゆるメディアミックスが始まります。小説版(ノベライズ)もそのうちの一つですね。作品によっては商業レベルとは思えないしょうもない内容で、ただのファングッズ化している小説版もあります。特に出版社主導で、原作者がほぼノータッチのような小説版は失敗が多いような印象。

で、ちはやふるの小説版はどうかというと、太一好きなら買っておいて損はないでしょうという感じ・・・いや、悪くないんですよ。むしろ良いと思います。巻頭にかるたの用語解説を載せたり、物語の節々で和歌の背景や意味を解説してあったりと読者に和歌について知って貰おうという努力が感じられて好感が持てます。

しかしなんというか、やや物足りない感はあります。原作の持つ空気感、キャラの表情、歌の色合いの表現には格別なものがあります。が、それを文章だけに置き換えると不思議と凡庸な感じになってしまいます。絵柄と文体ってまったく別物ですからね。これはもう仕方ないのかもしれません。

もっとぶっちゃけると、せっかくの中学生編なのに千早の挿絵が少ない事でしょうか。いえ、別にロリだから言っているワケではありません。ゲフン、ゲフン。

さて、小説の内容についてもう少し触れると、今回のお話は原作ではあまり語られる事の無かった太一と千早、それぞのれ中学生時代の話です。構成は大きく二章に分かれており、超進学校での太一の奮闘と、かるた馬鹿による千早暴走記という内容。主人公の千早を差し置いて、太一が第一章になっているところが面白い。

小学生時代の太一はやんちゃで生意気。金持ちのボンボンでイケメンのくせに余裕がなく、姑息で卑怯な手を使ってでも勝つというイヤな子供でした。ところが高校生になって再登場した際は爽やかな好男子に生まれ変わっていました。確かに彼が良キャラであることは小学生時代から千早や新と交流している場面でもその片鱗を見せてはいましたが、それにしても驚くほどの変貌ぶりでした。

その変貌するまでの過程を描いたのが今回の小説版。彼の前に立ちはだかるのはジャンルは違えど「天才」という人種。太一がこれまで築いてきたプライドが「天才」の出現によって破壊されます。しかし、そこで逃げないのが太一のすごいところ。どうすれば「天才」に勝てるかと、苦悩し、これまで以上に努力します。そして行き着いたのが『自分の心、勝ちたいという焦りに勝たなければ、相手にも勝てない』という結論。中学一年生でこんな結論を導き出すなんて半端ないです。そしてその心持ちが爽やかさに転化していったようです。彼は性格までも努力で磨き上げていくタイプなんですね。まあ、高校生になってもたまに地が出てしまいますがw

一方第二章で語られるのが千早。スペックだけなら人気者になりそうですが、かるた馬鹿過ぎて、クラスで孤立しています・・・しかし、流石は千早。全然折れない。というかあまり気にせずに暴走しまくっています。怪我をした陸上部の先輩とかるたで交流するのですが、かるた好きのベクトルが違い過ぎて、全然かみ合っていないw先輩が人格者ではなかったら話が成立しないほどのかるた馬鹿っぷりが笑えます。原田先生が、太一は大人になったが、千早は変わっていないという主旨の言葉を口にしますが同感です。小学生編の千早のまんまでした。空気読め千早。


おまけ:

購入していて紹介していなかったBD「ちはやふる」の最終巻の紹介。
ご覧のようにBOX仕様になっています。収納するのに便利ですね。でも3巻だけ間違ってDVDを購入してしまったのでBOXに入らないw




2012-06-13 ちはやふるアニメ第二期決定!そして17巻の感想 [2次元@ちはやふる]

ちはやふる(17) (BE LOVE KC)

ちはやふる(17) (BE LOVE KC)

  • 作者: 末次 由紀
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/06/13
  • メディア: コミック

先日発売された、ちはやふる17巻のコミックスの帯にてアニメ第二期始動の告知がありました。
この件についてはすでに方々でネタバレされていたため驚きの声を書店で上げるようなことはありませんでしたが、ニヤニヤと薄気味悪い笑みでそっと帯の表面をなでる変態紳士の姿がそこにありました。話には聞いておりましたが、実際にこの目で「アニメ第2期始動!!」という文字を見ると感慨深いものがあります。本放送終了からわずか3ヶ月での第二期始動のアナウンス。視聴率という数字では芳しくなかったものの、周囲のアニメファンの中でも好評だったので、もしかしたらという期待はありましたが、まさかこれほどまでに早く決定がなされるとは思いませんでした。使い古された言葉ですが嬉しい誤算でございます。いやほーい。

さて、そんな喜ばしいニュースに浮かれつつコミックス17巻の感想と考察を。
今回の17巻。これまで純スポ根マンガとして展開していた「ちはやふる」にある一石が投じられました。そう。主人公である千早の「恋」についてです。本誌でその回が掲載されると大手アニメブログなどが取り上げて一時騒然とした雰囲気に。ちはやふるの注目度の高さに驚かされつつ、コミックス派の自分としては実際に単行本として刊行されて読むまで気が気でない状態に。それは単に自分が真島太一贔屓であるという理由だけではなく、これまで意図的にぼかされていた千早の恋愛とその帰結が「ちはやふる」という物語の終結を早めるのではという危惧によるものです。また競技かるたという世界の魅力とそれに賭ける少年少女たちの熱い青春物語で読者を惹きつけてきた感のある「ちはやふる」に今更恋愛的要素を付与してもみな戸惑うだけではないかという不安もありました。

しかし、実際コミックスを読んでみると、そんな危惧や不安はどこかに吹き飛んでしまいました。
熱い!これまでよりもさらに熱い!そして物語自体が「厚く」なった。
太一VS理音。クイーンVS新の対決も熱かったのですが、なによりも千早が抱いた「想い」に対して折れずに立ち向かう太一の男気に震えました。才能と戦う覚悟のある部長太一。劣勢でも諦めない太一。ちょっとずるくてへぼいところもある太一。でも逃げずに戦うその姿は応援せざる得ない。まるで少年マンガの主人公のような男。

・・・・って、あれ。もしかして主人公なんじゃね?

不覚にも17巻にしてようやく気がつきました。彼は「ちはやふる」のもう一人の主人公だったのです。

実はこの「ちはやふる」初めから二つの要素で成り立っていました。ひとつは「かるたにかける青春」という要素。そしてもうひとつは「恋をかけたかるた」という要素。
千早を主軸とした話が前者であり、太一を主軸にしたのが後者。これまでの「ちはやふる」は千早を主軸にした要素だけが目立っていました。高校1年の「かるた部」設立から全国大会。そしてクイーン戦なんかは完全に千早の独壇場であり、つまるところ「かるたにかける青春」がテーマでした。ところが2年生になり、新入部員が入ってきてからというものの、恋愛的要素が少しずつ介在。そしてそれに比例するかのように真島太一の描写が増えていきました。今にして思えばかなちゃんこと大江奏ちゃんに対して新一年生の花野菫が言い放った台詞は太一がもう一人の主人公であるということを示唆してたようにも思えます。

「百人一首なんて、恋愛の歌ばっかりじゃないですか」

そう。百人一首の大半は恋愛を歌っています。そして競技かるたはその恋愛の歌を「奪い合う」ゲーム。
「ちはやふる」をこれまで単に特殊なスポーツ青春モノとして捉えてきましたがそれは大きな勘違いでした。少女マンガでありながらわざわざこのジャンルを取り上げたのはちゃんとワケがあったのです。本作の主人公を千早だけだと思っていましたが、もう一人の主人公が真島太一であると考えれば「恋をかけたかるた」というもう一つの物語の輪郭が見えてきます。真島太一と綿谷新の「ヒロイン千早」を賭けた戦い。1巻から燻っていたその火ぶたがこの17巻においてようやく切って落とされました。現在は恋愛においてもかるたの実力においても劣勢な太一。しかしそんな劣勢を跳ね返し、這い上がっていくのがヒーロのセオリー。そして気がつけば後ろではなく追い越す勢いの太一に驚き、認識をあらためる千早。見える、見えるぞ。そんな熱い展開が。恋愛要素が解禁されたことによりさらに面白さを増したちはやふる。自分の危惧が払拭されてよかったという安堵と共に、全文においてただの負け惜しみではないかという心の声を封殺しつつ、この辺で今回は終わりにしたいと思います。

つーか、これアニメ第二部でも収まりきれないですよね。
というわけで第三部の決定も早々に告知願いたいです。


ちはやふる Vol.7 第十九首~二一首収録 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: バップ
  • メディア: Blu-ray


2012-4-21 ちはやふる Vol5のレビュー [2次元@ちはやふる]

「ちはやふる 神代も聞かず 龍田川 から紅に 水くくるとは。夢かぁ・・・初めて新とかるたをしたあの日、私が知ったのはかるたじゃなくて、新の情熱だったんだ・・・」byかなちゃん

あらためてアニメを見直すと第一話から新とのフラグがびしばし打ち立てられていた気がしないでもない「ちはやふる」の恋愛事情。「BE・LOVE」の最新号でそのあたりに急展開があった模様で太一派としては多少動揺しておりますが、まあ、まだ慌てる時間じゃないと心を落ち着かせて今月発売のBD、『ちはやふる Vol5』の紹介でも。

三話収録ながら毎度実売4000円以下という大変お得な「ちはやふる」のBD。このお値段でキャクターチャーム(キーホルダーみなたいなやつ)も付属されてきますので文句のつけようがございません。さらに今回は「瑞沢高校かるた部?冬の大特訓合宿!」という公式イベントを収録したDVD(1時間超!)も付いてくるという大盤振る舞い。神回だったクイーンとの初対決が収録されている本編と併せてお買い得感がマジ半端ないっす。

ちなみに公式イベントのDVDの内容ですが三部構成になっており、第一部はオープニング、エンディングのミニライブ。第二部は千早(瀬戸麻沙美)、太一(宮野真守)、新(細谷佳正)、かなちゃん(茅野愛衣)の四人のトークイベント。そして第三部は上記声優陣と早稲田大学かるた部との「かるた対決」となっています。

特に面白かったは第二部のトークイベントで行われたアニメのワンシーンをその場でアフレコする企画。ひょろ君の台詞を太一が担当したり、女帝の台詞をかなちゃんが演じたりとオリジナルとは違う雰囲気ながらそれぞれの声優さんの持ち味が発揮されており素晴らしかった。

エントリー最初の台詞は本来は千早の小学生時代の台詞ですが「もしも千早ではなくかなちゃんが、太一と新に出会っていたら」という設定でアフレコ。目を閉じてその声に耳を澄ますとかなちゃん主人公の世界線もアリだなと思いました。

ちはやふる Vol.5 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: バップ
  • メディア: Blu-ray


2012-03-28 ちはやふる最終回。第25首「もれいづるつきのかげのさやけさ」 [2次元@ちはやふる]


昨年の秋に放送を開始し、年を跨ぎつつ我々を楽しませてくれたアニメ「ちはやふる」も本日放送された第25首「もれいづるつきのかげのさやけさ」をもって一旦幕を下ろしました。気が付けば季節はもう春。「明日ありと思う心の仇桜 夜半に嵐の吹かぬものかは」とは諸行無常を詠ったものですが、桜が散るどころか、咲く前に終わってしまったためか、なんだか寂寥感を覚えるというよりも、狐につままれたような感覚に陥っています。来週も普通に放送があるような気がしてならない。そう思って公式HPを確認すると、次回予告が『放送は終了いたしました。長らくのご愛顧ありがとうございました』になっていて愕然。長らくってなんだよ。まだたった半年じゃないか。もっと続けておくれよとモニターを揺さぶりたくなりました。

この想いどうしたらよいのか、と悶々としても埒が明かないので心の整理がてら最終回の感想でも。

今回の最終話。一アニメ作品としてのまとりまりよりも、次期シーズンに繋げるためのエピソードを優先したような気がしました。例えば名人戦。尋常ではない「感じ」を持つ名人こと周防久志の凄味をを第三者の視点を交えて丁寧に描写していました。名人周防は千早たちの今後の方向を定める重要なキャラです。前回クローズアップされたクイーンこと若宮詩暢と共に、ちはやふるの物語において北極点と南極点、いやN極とS極と言った役割を持っています。かるたに飽きた名人、かるたに愛された詩暢。両極にいながらも孤高の天才であるところが共通している二人。その二人が放つ強烈な磁場にどう立ち向かっていくか。千早は詩暢。太一と新は名人と。それが今後の展開の軸であることを強調していました。

2クール作品としてきれいに纏めるならその辺はさらっと流し、瑞沢高校競技かるた部の面々が一年間の活動で抱いた想いとかを適当なオリジナルエピソードを加えて「オレたちの戦いはここから」的は感じで終わらせてしまえばよいのです。しかし、そうはしなかった。また千早がめがね君の指摘で自分の能力の一端を自覚し、その後廊下で佇みながら歌の断片を呟くシーン。美しく印象的なシーンなので、この辺りで話を締めるのかと思えば、そこからさらにかなちゃんの読手志願のエピソードや女帝の職員会議まで繋げます。おかげで最終回ながら忙しい展開になってしまいましたが、原作を知っているとこれらが今後の展開上、必要不可欠なエピソードであることが分かります。そのあたりを省かずに挿入したあたり、やはり次期シーズンを念頭というか、「ぜひ続けたい!」という制作者側の意気を感じました。最後に映ったエンドカードなんてアニメだけ観ていたらイミフな二人ですが、あれは強烈なメッセージを含んでいましたね。ニヤリ。

制作者側はやる気だ。次期シーズンを。そう期待せざるを得ない。
・・・・のですが、雲行きは若干あやしい。どうも視聴率や、BDやDVDの売り上げが芳しくないようです。アニメのポテンシャル的には社会現象になってもおかしくはないと思うのですが、やはり時間帯が悪かったのでしょうか売り上げには繋がらなかったようです。アニメ制作は慈善事業ではないのは重々承知。続きを作りたい、観たいと思ってもお金がなければいかんともしがたい。しかし初代ガンダムのように再放送などで人気に火が付く可能性もあるので諦めるのは早計。今後じわじわと人気になることを願います。

とりあえず次期シーズへの期待感を込めて自分もBDを購入しました。


悔しさの賞味期限は長くないというのは原田先生のお言葉ですが、感動の賞味期限もまたそう長くない。心に勢いがあるうちに購入しましたが、ひとつ失敗が。

今回BDで揃えるつもりで注文しまたが、ご覧のように一枚だけBDではなくDVDを購入してしまいましたwww。以前自分で作ったアフェ経由で購入したのですが、どうやらAMAZONに三巻だけBDの在庫がなくDVDのリンクになっていたもよう。一枚だけ3000円を切っていたので安いなぁと思いましたが家に届くまで気が付かなかった。まあ返品するのもなんだし、画質以外はそう大差ないだろうと並べてみたところ、BDとDVDではケースのサイズが違うことが判明。DVDの方が若干大きい。他はみなBDなので、結果、新だけぼっちのような感じになりました。新ゴメンw。

その内にBDのレビューや、ちはやふる全体のまとめでもエントリーしたいなと思いつつ今日はこの辺で。


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こちらはBD。今後お財布に余裕ができたら買い直さないと。

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