2013-01-09 遅まきながらZX-14Rインプレッション

我が相棒のZX-14R。いつの間にか購入してから半年を経過しました。バイクを購入する際、実際に乗っている人のインプレって結構参考になるんですよね。実際自分もそうしたHPやらブログを参考にさせてもらったので、恩返しという意味でも、いつかちゃんとインプレしなければなぁ、と考えていましたが、これまで一度もまともなインプレをしていませんでした。ということで本日は遅まきながらこのバイクのインプレでも！

■慣らしについて
車にしても、バイクにしても、新車で購入した場合、「慣らし」と呼ばれるモノがあります。まあ、エージングみたいなモノですね。エンジンやらサスやらギアをいきなりフル酷使させず、ゆっくりと馴染ませてあげようという作業です。部品精度、組み立て精度が飛躍的に進歩した今日、果たして本当に必要不可欠な作業なのかは分かりませんが、人も、モノも長くお付き合いするには始めが肝心なのは間違いありません。というわけで説明書に記載された慣らし運転を試みましたが・・・はっきり言ってこのバイク、慣らし運転が不要というか、あまり意味がありませんでした。

説明書に記載されたZX-14Rの慣らし運転は二段階あります。第一段階は0~800kmまでの区間、第二段階は800km~1600kmの区間。それぞれの区間、エンジンの回転数を4000rpm以内、6000rpm以内に抑えて走向よ、というもの。この回転数しばり、排気量の少ないバイクだとけっこう苦痛らしいです。なぜかといえば、基本小排気量のバイクはエンジンの回転数を上げてスピードを稼いでいるから。低回転での走向とはつまり低速での走行ってことなので場合によっては法定速度を大きく下回って走行を強いられる事になります。

ところがZX-14Rの場合その逆でして、馬力がありすぎて「慣らし運転」なのに「法定速度」を越えてしまう危険性があるのです。なにせ馬力が200PSもあるモンスターバイク。第一段階の4000rpmでも一般道はおろか高速の追い越し車線でも事足りてしまいます。なので、第二段階である6000rpmは不要というか意味がない。普通慣らしと言えば、指定内のエンジン回転数で1速から6速までまんべんなくシフトチェンジしつつ走向するものですが、日本でこれをクリアするにはサーキットにバイクを持ち込むしかありません。


■車体と車重について。
1,441ccの排気量を誇る並列四気筒エンジンを搭載しているだけあって車体はとても大柄です。身長166（気合いで上下する）の自分としては両足の母指球がギリギリ設置する程度。通常走行時は問題ないものの、跨いだまま押し戻したりするのにはちょっと苦労します。降りての取り回しについては大変苦労します。走行中は重量を感じないバイクですがエンジンを停止させたコイツの重さは半端ない。購入したのをちょっと後悔するレベル。当たり前ですがハンドルの切れ角度もCB400SBの時とは別物。曲がらない進まないｗしかも、変な力を加えると、すぐにバランスを崩すのでめっちゃコワイです。たった一ヶ月で二度も倒してしまったのもこの取り回しの悪さが原因。どちらも駐輪場での出来事でした。走行中は素直な奴なのに停車したとたん巨悪になるので購入する方は倒しても泣かない覚悟が必要。


■走行性能
まずは加速性能。これは申し分ありません。一速から六速までどのギアでもスムーズに加速します。アクセルを捻ると、するするとメータが上昇。それでいてドン付きもありません。とにかく「自然」にとてつもない速度域に達するバイクです。一方で、低速トルクも十分。一人で乗っても、タンデムでも、なんの苦労もなく発進します。なんと、一人乗りならアイドリングでも2速発進可能。つまり平地であればエンストすることはほとんどありません。続いて、旋回性能。けして機敏ではないですが曲がりたい方向に自然にスーッと曲がります。強力なブレーキ、トラクション・コントロール、バックトルクリミッターを装備しているので適当に走ってもなんとかなる懐の深さがあります。ただし、やはり車重があるので、フロントブレーキを過度にかけて前荷重で曲がるのは止めておきましょう。アンダーカウルを簡単に擦ってしまいます。まさかバンクセンサー（ステップの下についているアレ）より先にカウルが擦れるとは思わなかった・・・


■空力性能
空力についてはフルカウルということで、いわゆるネイキッドにくらべて前からの風については高い効果があります。タンクに身体を伏せなくても風圧が苦にならない。結果、長距離でも疲れません。しかし油断は禁物。横風はそれなりに影響を受けます。なおこのバイクの場合、特筆すべきは空力性能よりも廃熱性能です。フルカウルというのはエンジン周りを覆いで塞ぐようなものなので、当然熱がこもります。大出力のエンジンであれば熱量も半端ない。バイクによっては温風というよりも熱風がライダーの身体を襲います。夏などは皮パンでないと火傷するバイクもあります。そんな中、このZX-14Rは全然熱くならない。エンジンの熱はカウルのサイドフィンから放熱されますが、その放熱方向はライダーの身体を上手く避けているようで夏場でも安心して乗れます。これは本当に素晴らしい。


■Fブレーキ、Rブレーキ
F,R共にすばらしい制動力を持っています。それでいてあまり主張することがない「縁の下の力持ち」的ブレーキです。急減速する場合でも暴力的なところがなく、指先でじんわりと握る（引く）だけで、確実に止まります。とても不思議な感覚。あと、これは車体の剛性とサスとの関係もあるのでしょうが、急減速時も驚くほど挙動が安定しています。た・だ・し・・・最近気になる点が。それはFブレーキからの音鳴り。まだ走行2500Kmぐらいなのに低速域からブレーキロータが触れる瞬間にキーキー鳴りやがります。ロータの錆から発生していものではなさそうなので、今度調査予定。



■燃費
走行環境＆気温によってもの凄く変わる印象。高速道路を中心に走った際は18.8km/Lでしたが、都内を中心に走った際は14.3km/Lにまで低下。どちらも急発進、急加速を抑えており、マルチファンクションLCDにはずっと「ECO」の文字が点灯していたものの、顕著な差がでました。燃費については停止、発進の回数に比例する感じ。ま、燃費を気にして走るバイクでもないので、あまり気にしないようしています。なお燃料タンクの容量は22Lもあります。バイクとしては大容量。でもハイオク使用なので複雑なところでもあります。

■パワーモードとKTRC（カワサキ･トラクション･コントロール）
まずはパワーモードについて。出力性能をフル発揮するFモードと、約75％に抑えたLモードがあります。正直低回転域では違いが分かりません。多分高回転域で差が出るのかも知れません。でも、比較する機会は今後もなさそう。なんとなく性能を抑えているというのが、もったいない気がするので、いつもはFモード。

次ぎにKTRC（カワサキ･トラクション･コントロール）について。これは滑りやすい路面でタイヤの空転（スリップ）するのを低減させる機能の事。これは、正直すごい機能だと思いました。バイクでサバゲーに行くことがあるのですが、サバゲーフィールドの近辺は大抵無舗装の荒道。砂利道のゴツゴツした道も多い。そんな中、重い車体をものともせず安定して進むので、とても感動します。


■ミラー
正しく設定すれば思いの外に良く映りますし、4500rpmまではまったくぶれません。ちなみこのミラー折りたたむことができます。そのため立ちゴケした際にも衝撃を上手く逃がしてくれて折れずにすみました。


■シート
厚手のシートのためお尻に優しい仕様です。タンデム側も同様で、CB400SBよりも遙かに座りやすいと嫁にも好評。しかし、このシート。一度取り外した後の装着が思いの外難しい。どうも上手くハマらない事が多い。


■ライト
光量は必要にして十分。ハイビームにする機会はほとんどありません。ZX-14は外側2灯がポジションランプ。その次ぎがハイビーム。中央側がロービームになっています。なので通常は4眼状態。もともとこの6眼に惚れて買ったようなものですが、6眼で走行する機会はなさそう。それにしてもこのバイク、ペットネームは「Ninja」と呼ばれていますが、全眼点灯するとナウシカのオームにしか見えません。


■最後に積載について
CB400SBはシート下に余裕がありちょっとした小物（ディスクロック）などが収納できましたが、コイツにはそんなスペースは皆無。ETCのユニットを搭載させるともうなにも入りません。しかし、一人乗りであればリアシートに物が積めますし、荷掛フックもついているので不便ってほどでもありません。


以上、簡単ながらZX-14Rのインプレでした。購入する人の役に立つといいなぁ。

タグ：ZX-14R　インプレ ninja

コメント 15

zx-14rは雑誌で一目惚れしてからほぼ毎日ネットでのインプレを漁っていました

バイクブロスさんのインプレ以外はなかなか出なくて、良い点ばかりではなく不満な点などユーザーの声が聞きたかったのです！

自分は中型免許のgsr400乗りですが、将来的には大型免許を取ってスポーツバイクに乗りたいと思い、バイクのインプレを閲覧するのが趣味でしたのでこのようなインプレを作成していただきありがとうございました(^ー^)
by GAMY (2013-02-06 23:47) 

GAMYさんへ。
zx-14Rのインプレ記事を観て頂きありがとうございます。こんな拙いインプレでも将来購入する際の参考になれたら幸せです。
by のぞみつき (2013-02-11 22:45) 

とても参考になりました。。
とてもいいバイクというのが伝わってきます。

購入を検討してるので、もしもどこかで出会うかもですね。
その時はよろしくです。。
by たし (2013-04-01 11:17) 

とても参考になりました！

まだ、高3で
大型免許もとってませんが
夏には取りにいき、将来ZX14R
に乗りたいと思ってます！

参考になりました！
by 高校三年の野球馬鹿 (2013-04-01 16:27) 

たしさんへ
コメントありがとうございます。
購入した際はぜひインプレをお願いします。
by のぞみつき (2013-04-02 20:49) 

高校三年の野球馬鹿 さんへ。
こんな駄目なおっさんのインプレを読んでくれてありがとうございますｗ
素敵な大人になって是非ZX14Rを乗り回してください！
by のぞみつき (2013-04-02 20:54) 

一番参考になるインプレでした。僕もあと2週間でZX14Rが納車されます。追伸、シートが装着しにくいのは、片側のブラケットの角度が悪いらしく、ペンチで曲げて直ったというブログを見ました。またインプレ更新期待してます。写真もセンスがいいですよね！
by さんちゃん (2013-04-14 21:57) 

さんちゃんさんへ。
シートが装着しにくい理由について情報ありがとうございます。シート側の窪みと車体側のかみ合わせがちょとシビアなようです。最近はコツを掴んだようでスムーズに脱着できています。

GW期間に納車なんて最高ですね！慣らしは苦痛にならないので、存分に楽しんでください。
by のぞみつき (2013-04-15 22:34) 

こんばんわ。レビュー参考になりましたありがとうございます。
同じ車種を検討していて色々なところを見て回ってます。
ブラックということは2012年モデルですね？
ちょっと質問なのですが新車購入なのですよね？
納車時の走行距離は0kmスタートではないとおもうのですが、何kmほど走行した状態での納車だったのでしょうか？
お店によっては結構距離を走ってからの納車だったりするとか聞いたものでして。
by おもちZ (2013-04-25 23:07) 

おもちZさんへ。
自分のブログを読み返したところ、納車時の距離が写っていましたｗ
https://picasaweb.google.com/lh/photo/L9b0qiC_jHaqcFNntMRpP6nwjoHRlQycEZaT0ditKjo?feat=embedwebsite
拡大してみると、1.4kmと表示されていますね。

以前別のお店でCB400SBを購入した際も、厳密には「0km」ではなかったと記憶しています。参考になると幸いです。
by のぞみつき (2013-04-26 23:49) 

写真の捕り方
インプレッション共にセンスを感じます

早速Kawasaki行っってきますw
by 始めまして (2013-09-04 08:10) 

>初めましてさん。
コメント頂きありがとうございます！また一人ZX-14Rライダーが増えると思うと嬉しいです。実際に乗ってみた際の感想や気づいた点などありましたら、またコメントお願いします～
by のぞみつき (2013-09-16 16:27) 

とてもわかりやすいインプレです。参考になりました。ありがとうございます。
ところで、駐車場でこけたときの傷はどんな感じですか？
また、スライダーか何か取り付けていますか？
起こすのは、やっぱり大変でしたか？
質問ばかりですみません。お手すきのときに教えてください。
by 14OE検討中 (2014-02-05 23:12) 

> 14OE検討中さん
返信できずに申し訳ございませんでした。久しぶりにブログを閲覧してコメントを頂いていたのに気がつきました。

立ちゴケでのキズはサイドカウルの中央からやや下あたりに出来ます。ミラーの下も少しキズができます。あとステップのバンクセンサーが簡単に折れます。ゴロリと倒れたzx-14Rの姿はあたかも築地市場に水揚げされた本マグロのような感じです。できれば見たくない光景ですが、ちょっと笑ってしまう光景です。

なお、起こすのは以外に簡単です。これまた出来れば経験したくないモノですが・・・

by のぞみつき (2014-03-31 23:19) 

素晴らしいインプレをありがとうございます。私は高校時代からずっとカワサキ派だったのですが、今はCB1300SFに乗っています。が購入した店が明らかな殿様商売でマシンは素晴らしいのですが、来年の夏にZX-14Rに乗り換えます、
by かっちん (2014-05-05 11:29)