SSブログ

2013-11-19 ネタバレ注意!劇場版 魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語 [3次元@バイク]


やあ、ボクらの映画はもう観てくれたかい?
いくら魔法少女が条理を覆す存在足りえていたとしても、まさか宇宙そのものを改竄するなんてね。ボクたちにもこれはまったくの想定外だったよ。 キミの行いは、かつて、どんな知的生命体も為しえなかった宇宙への反逆に他ならない。ねえ、暁美ほむら。確かキミは「愛」と言ったよね?ボクらには理解できないその感情が宇宙に対する反逆の動機ならば、キミはそれによって何を得たと言うんだい?

できたらキミから直接その答えを聞きたいところだけど、有史以前からキミたちと築いてきた共栄関係は終焉を迎えてしまった。キミが捕獲した端末とのリンクは切断している。だから未来永劫その答えを聞くことはないだろう。まあ、仮にコンタクトが取れたとしても、ボクらが理解できるかは別の問題だけどね。

さて、ボクらの保護を失ったキミたちはこの宇宙において唯一無二の存在となった。これからキミたちはこの渾沌とした宇宙を独力で歩んでいくことになる。そこにあるのは間違いなく苦難の道だ。キミたちが生み出す「呪い」は、たとえ魔獣が滅亡しても消えることはない。なぜなら「呪い」とはキミたち人類に備わっている性だからね。本質的なモノだから切り離すことは不可能だ。きっと近い将来、「呪い」は飽和し、厄災としてキミたち自身に降りかかる。この状況を望んだのはキミたちだし、ボクたちにはもう関係の無い話だけどね。一応忠告はしておくよ。

とはいえ、実のところ、今回の件はボクらにも責任の一端がある。なんと言っても人類の「感情」を、エネルギーとして変換するテクノロジーを生み出したのは当のボクらだからね。創り出した側として、この事態に至った経緯と原因について説明する義務があるかもしれない。

というわけで、もう少し語りたいところだけど、このまま続けると、まだ映画を観ていないキミたちから「ネタバレするなっ」と恨まれてしまうかもしれないね。ブログのタイトルにはちゃんと「ネタバレ注意!」書いたつもりだけど。認識の相違から生じた判断ミスを後悔する時、何故か人間は他者を憎悪するんだよね。仕方がない。ここからは『続きを読む』に書くとするよ。では、話の続きをしよう。

浄化しきれなくなったソウルジェムが消滅してしまう現象。魔法少女たちが『円環の理』と呼ぶその現象は、これまでまったくの謎に包まれていた。どのような原理でこの現象が起こるのか。多くの仮説が提唱されてきたけれども、納得する答えは得られなかった。ボクらはこれを未解決問題として一旦棚上げすることにした。ボクらにとって熱力学の法則に縛られないエネルギーの回収こそが最重要事項であり、魔法少女と、そのソウルジェムが最終的にどうなろうとも大きな問題にはならなかったからね。言い方は悪いかもしれないけれど、替わりはいくらでも調達できるし、いちいち消耗品について気にかけている時間はなかったんだ。

ところが、ボクらの認識は『暁美ほむら』の出現によって大きく変わった。彼女が唱えた仮説はとても興味深いものだった。彼女の言うように、かつての宇宙が別の条理によって支配されていたとしたら。魔獣ではなく、穢れを貯めたソウルジェムそのものがエネルギーを生み出す発生源とされていたのなら。魔法少女のソウルジェムは消耗品と呼ぶには値しない貴重な存在となる。ソウルジェム内で「希望」から「絶望」への相転移が起きた場合、その感情の落差が生み出すエネルギー量は宇宙のエントロピーを確実に凌駕するモノになるはずだ。

魔法少女との契約のためにボクらが宇宙から借用するエネルギーと、魔法少女が魔獣から回収するエネルギーの差分はごく僅かでしかない。キミたちの言葉に言い換えるならば「利子」程度のモノだ。けれども、暁美ほむらの言葉が正しければ投資に見合うだけの莫大な利潤が期待できる。だから、ボクたちは彼女の仮説を元に、円環の理の解明に全力を注ぐ事にしたんだ。

無論、彼女の仮説が妄想である可能性は検討したよ。でも、彼女の存在自体が仮説に信憑性をもたらしていた。明美ほむらは、この宇宙のどのボクらとも契約を交わしていない。にもかかわらず、『魔法少女』としてボクらの世界に存在していた。これはとんでもないことだよ。彼女はここではない別の宇宙で契約を交わし、因果律を超越してこの世界に出現したということになるからね。奇蹟としか言いようがないその事実が、彼女の説を肯定していたんだ。

暁美ほむらが何故、因果律を越えてまでこの世界で戦い続けるのか、その理由は知るよしもない。いずれにせよ、彼女は実に良く戦っていたよ。多くの魔法少女が倒れて、ひとりぼっちになっても、まるで戦う事が何かに対しての贖罪かのように彼女は戦い続けた。ボクらもまた彼女の傍に居続けた。やがて彼女のソウルジェムが濁りきるその瞬間までね。

「円環の理」を観察するにあたって暁美ほむらを被験者として選択したのは、ひとえに彼女のみが「円環の理」を概念としてではなく、ひとりの人格、「鹿目まどか」として認識していたからだ。この宇宙と一切の因果関系がない存在がソウルジェム内で具現化したとして、誰がそれを「円環の理」と認識できるのか。それが可能なのは、「円環の理」を具体的な存在として認識していた暁美ほむら、一人しかいなかった。故に、彼女を被験者として選択したんだ。

まあ、これが結局、裏目に出てしまったんだけどね。彼女が内包する精神エネルギー量は、ボクらの想像を遙かに超越していた。彼女が秘めいていた破格としか言いようのない魔力によって、ボクらの思惑どころか、宇宙の条理すらもねじ伏せてしまったんだ。一体別の宇宙のインキュベーターは彼女にどんな願いを叶えたんだろう。分けが分からないよ。彼女の魔力の源泉は呪いでも絶望でもなく「愛」だったと言うのだから。

「円環の理」=「鹿目まどか」は全ての魔法少女を救済する為にあらゆる因果と並行宇宙を越えて存在していた。魔法少女が抱いた希望を、絶望で終わらせない。その祈りとも言える意思で、ソウルジェムが濁りきったその瞬間、あらゆる世界に干渉し、ソウルジェムを回収していた。絶望というエネルギーを得られないボクらにとっては迷惑な存在だ。彼女は魔法少女の「神」であり、ボクらの神ではないという事だね。とても利己的な神様だ。それでも「鹿目まどか」は精神エネルギーの回収サイクル自体は否定していなかった。宇宙にとっても人類にとっても許容できる存在だった。

一方、暁美ほむらは、たった一人の少女の救済のために宇宙の条理を欺いた。キミたちは知らないだろうけど、この宇宙の生命体は全て、宇宙と契約を交わし存在を許されているんだ。そしてその契約とは法律によって初めて効力を発揮するものなんだ。今回、暁実ほむらはその法律を改竄したに等しい。まさに悪魔の所業だ。でも、そんな悪魔の「愛」が神に等しい鹿目まどかの「祈り」を凌駕し、彼女を天上から引きづり下ろしたというのは、物語の結末としては悪くないんじゃないかな。

さて、そろそろボクはこの宇宙から離脱するよ。今回の一件でボクらは貴重な教訓を得ることができた。理解も、制御もできないエネルギーには手を出してはいけないという教訓をね。この宇宙はやがて破綻するだろうから、ボクらは別の宇宙でこの教訓を活かすとしよう。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:趣味・カルチャー

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。